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誠実な良文を弾かないAIゲートに直す

AIレビューやゲートの過検出は、修辞や免責の言い回しまで機械的に弾いてしまいます。景表法ワードを一律ブロックから文脈判定へ移し、免責の表現を辞書に加えた、当社の品質ゲート校正の実例をまとめました。

過検出は「怪しいものを全部弾く」ではなく、「良い文章を弾かない」側へ倒して直す。これが私たちの結論でした。

私たちは、公開前の記事を機械のゲートで採点しています。 誇張や捏造、立場のすり替えを、公開前に止めるためです。

ところが最初、そのゲートは狙った文だけでなく、 むしろ良い文章まで弾いていました。

過検出をどう校正したか。単語の一致で弾いていたものを、文脈で判定する側へ移した実例を書きます。

🚧良い文章が、ゲートに弾かれた

誇張を弾くはずのゲートが、修辞的な強調や、あえて言い切らない言い回しまで機械的に落としていました。

ゲートの目的は、景表法にふれる最上級の誇張(優位性を断定する言い回し)や、根拠のない断定、捏造の数字を止めることです。 ここは、はっきり止めたい。

ところが運用を始めると、弾かれるのは狙った文だけではありませんでした。 比喩や強調のために使った言葉、あえて言い切らずに濁した言い回しまで、まとめて赤信号になったのです。

過検出には過検出のコストがあります。書き手(この場合は AI も人も)が「どうせ弾かれる」と学習して、表現を平板に寄せてしまう。誇張を消すはずのゲートが、文章から体温まで奪ってしまう。 なので方針を 1 つ決めました。校正の向きは、良い文章を弾かない側へ倒す、と。

📖「唯一」を一律ブロックから文脈判定へ

優位性の誇張に使われやすい語でも、修辞として使う場面がある。単語一致で即ブロックはやりすぎでした。

具体例を 1 つ。私たちのゲートは当初、「唯一」という語を景表法ワードとして即ブロックしていました。 製品の優位性を誇張するときに使われやすいからです。

ところが実際の原稿では、「記憶が唯一の引き継ぎ書だ」のように、修辞として使う場面が多かった。これは商品の優劣を主張していません。なのに、一律で弾かれていました。

そこで「唯一」を、即ブロックの辞書(hard)から、文脈を見て判定する側(soft)へ移しました。 soft では、AI のレイヤが「これは製品優位の断定か、ただの修辞か」を根拠と照らして判断します。 弾く・弾かないを、単語の一致ではなく使われ方で決める。過検出の多くは、この「一律 → 文脈」の移動で減りました。

🛡️免責の言い回しは、むしろ守るべき信号

「〜というわけではない」のような留保は、弾く対象ではなく、健全さのしるしでした。

もう 1 つ。断定を避けるための言い回し――「〜というわけではありません」「〜というものではない」のような留保の表現です。

良い文章ほど、言い切れないところは言い切りません。効能や成果を断定せず、含みを持たせる。 これは弾くべき悪い兆候ではなく、むしろ健全な兆候です。

なので、こうした免責・留保の言い回しを辞書に登録して、「これがある文は、断定リスクが下がっている」と評価する側に加えました。 断定マーカーだけを数えて減点するのを、やめたということです。 過検出を直すのは、悪い兆候を足すだけの作業ではありません。 良い兆候を、ちゃんと数える作業でもあります。

🎛️辞書は1か所に集約し、除外の理由を残す

弾く語・許す語・除外の理由を、1 つの辞書ファイルに集約しています。スクリプトはそこを読むだけ。

こうした調整を、スクリプトのあちこちに直書きすると、すぐに管理できなくなります。 「なぜこの語を除外したか」が失われるからです。

私たちは、判定に使う語彙を 1 つの辞書ファイルに集約しました。実践モードの語、景表法の語、免責の語、自社数値の語――どれもそこに置く。 追加や調整は、その辞書 1 か所でしか行いません。

そして除外には、必ず理由を添えます。たとえば「スポンサーの金額の設計例を、売上の数字と誤検出したので、自社数値の辞書から外した」というように。理由が残っていれば、後から見直せます。 ゲートは一度作って終わりではなく、過検出が見つかるたび、辞書に 1 行、理由つきで足していく。この積み重ねが校正です。

🧭過検出を直すときの物差し

校正のとき、私たちが見ている点です。ゲートを甘くするのではなく、弾く理由を精密にしていく。

私たちが校正のときに見ている物差しを挙げます。

  • その語は、優劣の主張か、ただの修辞か。修辞なら、一律ブロックから文脈判定へ。
  • その言い回しは、断定を強めているか、弱めているか。弱めているなら、減点ではなく加点の材料に。
  • その検出は、書き手の実体験を、誤って観測モードへ押し込んでいないか。自分たちが実際にやっている領域なら、一次情報として書く余地を残す。

最後の点は、意外と大事でした。私たちは自社のフィットネスアプリ(fit-ai)を運用していて、自分の疲れや体調の実感を書くことがあります。 これを「健康の話だから観測モードに寄せろ」と一律に扱うと、一次体験まで削られてしまう。臨床的な断定(治る・治療する)だけを厳しく見て、体験の記述は残す。そういう線引きにしました。

過検出の校正は、ゲートを甘くすることではありません。 弾く理由を、単語から文脈へと精密にしていく作業です。誇張は止める。良い文章は、通す。 この 2 つは、両立します。

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