LINEとDiscordでは足りず、運営アプリを自作した
会員管理・イベント・出欠を既製ツールで回そうとして詰まった点を整理し、地域コミュニティ運営アプリClubHouseを自分たちで作る判断に至った理由を開発者視点で書きました。既製サービスとの比較も添えています。
結論から書きます。既製ツールで回るなら、作らないほうがいい。
でも、運営の穴が地域固有で深いなら、自作という手もあります。 私たちは、後者でした。
LINEとDiscordでは埋まらない穴があって、地域スポーツとそこに集う人のウェルビーイングを支える運営アプリ「ClubHouse」を、いま自分たちで作っています。
この運営アプリと並行して、地域クラブと応援者をつなぐマーケットプレイス「ClubLink」も作っています。 運営する側と、応援する側。 その両方の現場を行き来しているので、「運営の手間がどこで詰まるか」は、わりと肌で分かるつもりです。
最初から自作ありきだったわけではありません。 むしろ逆で、まず既製ツールでどこまで回せるかを試して、足りなかった穴を一つずつ数えていきました。
この記事は「買うか、作るか」で迷っている人へ。 私たちが詰まった順番と、それでも作る側に倒した理由を、開発者の視点で正直に並べます。
💬まずは既製ツールで回そうとした
コミュニティ運営はLINEとDiscordから始まる。チャットとしては快適でも、運営の視点に立つと足りなかった。
地域のクラブやサークルの運営は、いきなり専用アプリからは始まりません。 たいていは連絡用のLINEグループがあって、少し込み入った話が出るとDiscordのサーバーが立つ。だいたい、この順番です。
私たちも同じでした。 告知はLINE、雑談やイベントの相談はDiscord。この二段構えで、しばらく走りました。
チャットとしては、これで十分に快適です。 通知は速いし、スタンプで気軽に反応もできる。
――でも「コミュニティを運営する」という視点に立った瞬間、当たり前の事実にぶつかりました。 チャットツールは、チャット以上のことをしてくれない。
会員名簿も、イベントの出欠も、過去の記録も、結局は誰かがスプレッドシートに手で写している。 ツールは増えたのに、運営の手間はむしろ増えていました。
🕳️埋まらなかった「運営機能の穴」
会員管理・出欠・イベント・記録。チャットと汎用SaaSを足しても、この四つの穴は埋まらなかった。
具体的に、どこで詰まったのか。 チャットツールと汎用SaaSを組み合わせても埋まらなかった穴を運営者の作業として書き出すと、四つに集約されました。
既製ツールで詰まった四つの穴
- 会員管理:誰が現役で誰が休眠か、緊急連絡先はどこか。チャットの参加者一覧は名簿ではありません。
- 出欠:スタンプ集計は数えられても、過去の出席傾向や当日キャンセルの履歴が残りません。
- イベント:告知・申込・リマインド・場所案内が別々のツールに散り、当日に情報が迷子になります。
- 会費・記録:入金確認や活動記録が個人のメモに閉じ、引き継ぎのたびに失われます。
一つひとつは、小さな不便です。 けれど運営は毎週続くので、この小さな不便が毎週積み上がります。
しかもこれらの作業は、たいてい運営の中心にいる一人か二人に集中する。 その人が忙しくなった週は、コミュニティ全体の動きが止まります。
私たちが本当に困ったのは、機能の欠如そのものより――その欠如が、特定の人への依存を生んでいたことでした。
🧩コミュニティSaaSも検討した
海外のコミュニティSaaSは洗練されている。でも英語・外貨・サロン前提で、地域運営とは想定が違った。
「それなら、会員管理まで含んだコミュニティSaaSを使えばいいのでは」。 そういう声もあると思います。私たちも、検討しました。
実際、海外にはSkoolやCircleのような、有料のコミュニティ運営プラットフォームがいくつもあります。 この領域の比較はSkool と Circle の比較記事などに詳しく、機能面はとても洗練されています。
――ただ、私たちが向き合っているのは、地域のスポーツクラブや、健康づくりのために集まる人たちです。
月額課金のオンラインコミュニティを前提にしたツールは、想定している「濃さ」が違いました。 海外SaaSは基本的に英語で、料金は外貨、機能はオンラインサロン寄りです。
「今週の体育館、鍵開けは誰か」「先週欠席した高齢の会員に、一声かけたい」。 こういう地域の運営に必要な機能は、汎用SaaSの一番外側にあるか、そもそも存在しませんでした。
🔨だから自作を選んだ
買うか作るかで最後まで悩んだ。地域固有の穴・無料で配る・脱属人化、この三つがそろって自作に倒した。
買うか、作るか。最後まで悩みました。 一人の社長とAI COOだけの小さな会社にとって、自作は決して安い選択ではありません。
それでも作る側に倒したのは、三つの理由からです。
穴が地域固有で、汎用ツールの守備範囲外だった
出欠の傾向や声かけの記録といった、地域コミュニティならではの運営動線は、既製SaaSの設定でどうにかなる範囲を超えていました。
無料で配りたかった
地域のクラブに月額の運営費を負わせたくありませんでした。自分たちで持つことで、使う人からはお金を取らない形にできます。
運営を一人に依存させたくなかった
会員も出欠も記録もアプリに集約すれば、引き継ぎが「アカウントを渡すだけ」で済みます。属人化をほどくことが、自作の本当の目的でした。
念のため書いておくと、自作は万能薬ではありません。 作れば保守が生まれるし、運営の穴が浅いコミュニティなら、LINEとスプレッドシートのままが正解です。
私たちの場合は、穴が地域固有で深く、しかも無料で長く配りたかった。 その条件がそろったから作った――ただ、それだけの話です。
📝まとめ
既製で足りるなら既製で十分。穴が深く無料で配りたいなら自作。判断軸は穴の深さと配りたい形。
- LINEとDiscordはチャットとしては十分ですが、会員管理・出欠・イベント・記録の穴は埋めてくれません
- 穴の一番の痛みは、機能不足そのものより、運営が特定の人に依存してしまうことでした
- 海外のコミュニティSaaSは洗練されていますが、地域スポーツやウェルビーイングの運営とは前提が違いました
- 穴が地域固有で深く、無料で配りたかったから、ClubHouseを自作する判断に至りました
- 買うか作るかは、穴の深さと配りたい形しだい。自作を勧めているわけではありません
あなたのコミュニティの穴は、既製ツールで埋まりますか。 もし埋まらないなら――その穴が「地域固有で、深いか」を、一度数えてみてください。答えは、たぶんそこにあります。
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