地域クラブの資金づくりで月額をやめ中間マージン型を選んだ理由
地域クラブと応援者をつなぐマーケットプレイスClubLinkを作る中で、月額課金でなく中間マージン型の手数料をどう設計したかを実装者視点で書きます。誰がStripe実費を負担するかまで踏み込みます。
地域クラブの資金づくりで、月額課金と手数料、どちらを選ぶか。私たちは手数料型にしました。それも、取引が起きたときだけいただく「中間マージン型」です。月額は、いちばん体力のない相手から、いちばん取りにくいお金を取る設計だと感じたからです。
「ClubLink」は、地域のスポーツクラブや文化サークルと、その応援者をつなぐマーケットプレイスです。公開して集客をしている段階で、掲載やマッチングの実績はこれから、というプロダクトです。
だからこそ、機能より先に「お金の流れ」を決めました。
この記事で開示するのは3つ。なぜ月額をやめたのか。手数料をどう配分したのか。そして――いちばん逃げたくなる、決済手数料の実費を誰が持つのか。ぜんぶ、実装した本人の目線で書きます。
💸月額課金だと、いちばん弱い相手から取ることになる
月額課金は、まだ成果の出ていないクラブから固定費を取る設計になりやすい。だから成果に連動する中間マージン型へ切り替えました。
最初は、ふつうにSaaSを考えていました。「クラブ向け月額プラン」。ダッシュボードを用意して、月いくらでスポンサー募集ページを持てる。よくある形です。
でも、地域クラブに置き換えたとたん、手が止まりました。
月額は、成果が出る前から固定費が発生するモデルです。まだ一人も応援者がついていないクラブに、毎月の請求書を送ることになる。
運営が保護者のボランティアで回っている団体にとって、使うかどうか分からないツールの固定費は、まっさきに切られる支出です。
つまり、解約が前提の設計になってしまう。それは違うな、と。
――だから、発想を逆にしました。
クラブにお金が入ったときだけ、私たちも少しだけいただく。お金が動かない月は、私たちの取り分もゼロ。
これなら導入のハードルは実質的に無料になります。そしてクラブと私たちの利害が、「支援を集める」という一点でぴたりと重なります。
⚖️なぜ個人10%・法人15%という差をつけたのか
応援の総額を縮めたくない個人は10%、対価と対応コストがある法人は15%。率の差には、説明できる理由を持たせました。
手数料率は、応援する側が個人なら10%、法人なら15%。一律にはしませんでした。
なぜ差をつけたのか。
個人の応援者は、金額が小さくて、気持ちで支える人が多い層です。ここに高い率をかけると、支援の総額そのものが縮んでしまう。応援のハードルは、できるだけ下げたい。だから率は低めに置きました。
一方、法人スポンサーは、支援と引き換えにロゴ掲載や告知という対価としての価値を受け取ります。私たち側の対応コストも上がる。その分を、率に乗せています。
| 応援する側 | 手数料率 | 考え方 |
|---|---|---|
| 個人 | 10% | 応援のハードルを下げたい。総額を縮めない |
| 法人 | 15% | 掲載・告知という対価があり、対応コストも増える |
正直、率の絶対値はそこまで本質じゃないと思っています。大事なのは、「なぜその率なのか」をクラブに言葉で説明できること。
取り分の根拠を語れないお金は、信頼で成り立つコミュニティでは動きません。
🧾誰がStripe実費を負担するのか、を曖昧にしない
決済実費はクラブ負担と明記。運営分と外部コストを混ぜず、着金額を一円単位で事前に見せるための線引きです。
手数料設計で、いちばん逃げたくなる論点があります。決済代行の実費を、誰が持つのか。
ここを曖昧にすると、実装のどこかで必ず帳尻が合わなくなります。だから正面から決めました。ClubLinkの決済はStripeを使う前提で、Stripeの決済手数料はクラブ側の負担にする、と。
一見、クラブに厳しく見えるかもしれません。でも、理由があります。
プラットフォーム手数料(10%/15%)は、私たちの運営原資です。決済実費は、それとはまったく別の外部コスト。もしこれを私たちが飲み込むと、率を上げて回収し直すしかなくなります。結局、まわりまわってクラブの取り分が減る。
――それなら、実費は実費として透明に見せる。私たちの取り分は運営分だけに絞る。そのほうが誠実だと考えました。
いちばん大事にしたのは、クラブが「いくら支援されたら、手元にいくら残るのか」を事前に一円単位で確認できること。
「あとから引かれます」では、信頼が壊れます。設計の出発点は、率の高さではなく、この見え方の透明性でした。
🔢スポンサー3,000円が、クラブに約2,592円届くまで
個人が3,000円を支援すると、手数料300円と決済実費約108円を引いて約2,592円が届く。この内訳を丸ごと開示します。
抽象論だけだと、伝わりません。実際の配分を、一つの例で追ってみます。個人の応援者が、クラブへ3,000円を支援したケースです。
支援額 3,000円
個人の応援者がクラブに支援します。ここが出発点です。
プラットフォーム手数料 10%
個人支援なので率は10%。3,000円のうち300円が私たちの運営原資になります。
決済実費 約108円
Stripeの決済手数料はクラブ負担。この例では概算で約108円が差し引かれます。実費なので取引額によって変動します。
クラブ受取 約2,592円
3,000円から手数料300円と決済実費を引いた残りが、クラブの手元に届きます。
Stripeの決済手数料の実際の率は、プランや決済手段によって変わります。だから正確な数値は公式ドキュメントで確認するのがおすすめです(Stripe Connect ドキュメント)。私たちが徹底したのは、この4段の内訳を、クラブに丸ごと見せることでした。
🌱手数料設計は、続けられる関係の設計だった
料金設計は数式ではなく関係の設計。成果が出たときだけ一緒に喜ぶ形が、長く使ってもらう条件だと考えています。
この形にしてみて、腑に落ちたことがあります。料金設計は、数式ではなく関係の設計なんだ、と。
月額をやめたのは、値引きではありません。「成果が出たときだけ、一緒に喜ぶ」という関係を選んだ、ということです。
- 月額課金は、体力のないクラブから固定費を取る設計になりやすい
- 取引時の中間マージン型なら、利害が「支援を集める」で一致する
- 率は一律でなく、個人10%・法人15%と価値と対応コストで分ける
- 決済実費は隠さずクラブ負担として透明に見せ、着金額を事前に確定させる
私たち自身、社長1名とAI COOだけの小さな会社です。資金の細さが、どれだけ意思決定を縛るか。身に染みて知っています。
だからこそ、地域クラブから「使うかどうか分からない固定費」を取りたくなかった。
手数料の一円一円を、ちゃんと説明できる状態にしておく。地味だけれど、それがコミュニティの中でツールを長く使ってもらう、たぶん唯一の道だと考えています。
開発パートナーを探していますか?
AIでプロダクトを最速で形にしませんか?
最短1週間でMVPを開発。アイデアの検証から本番リリースまで、i-Willinkがフルサポートします。まずはお気軽にご相談ください。
無料で相談する