ドメイン・DNS引き継ぎの落とし穴
ドメインとDNSの引き継ぎは順序を間違えるとサイトもメールも止まります。移管・ネームサーバ・メール設定の正しい順番を、一人会社のWordPress受託でハマった落とし穴の目線で整理しました。
サイトの引っ越しでいちばん止まりやすいのは、じつはサイトではなく——メールです。
うちは社長 1 名と AI(COO 役の Claude Code)だけの一人会社で、 複数社ぶんの WordPress サイトを受託で預かっています。
サイトを別のサーバーに移したり、ドメインの管理会社を替えたり。 こういう「引き継ぎ」は、作業そのものより順番でハマります。手を動かす順番を一つ間違えるだけで、 サイトが見えなくなり、メールが届かなくなる。
私たちが受託の現場でヒヤッとしてきた、ドメインと DNS の引き継ぎの 落とし穴を、順番の目線で整理します。
🧩「ドメイン」「DNS」「サーバー」は別のもの
まずここがごちゃ混ぜだと、引き継ぎは必ずこじれます。ドメイン・DNS・サーバーは、それぞれ別の会社が持っていることがあります。
引き継ぎでこじれる最初の原因は、言葉の混同です。ドメイン(住所の名前そのもの)、DNS(その名前を「どこに繋ぐか」の案内板)、サーバー(実際に中身が置いてある場所)。この三つは、それぞれ別物です。
しかも、この三つを別々の会社が管理していることがあります。 ドメインは A 社、案内板は B 社、中身は C 社、という具合に。 引き継ぎの前に、今それぞれを誰が持っているのかを書き出すこと。ここを飛ばして手を動かすと、必ず迷子になります。 DNS の基本的な仕組みは、Cloudflare の DNS 解説などが分かりやすく整理しています。
📧サイトより先に、メールが止まる
案内板(DNS)を切り替えると、サイトだけでなくメールの宛先も一緒に動きます。サイトのことだけ考えていると、メールを落とします。
いちばんの落とし穴がこれです。案内板(DNS)を新しい方に切り替えると、 サイトの向き先だけでなく、メールの向き先も同時に変わります。同じドメインのメールを使っている場合、サイトのことだけ考えて切り替えると、 メールがどこにも届かなくなる、ということが起こります。
サイトが数分見えないのは、まだ気づかれにくい。 でもメールが止まると、お客さんからの問い合わせや受注が音もなく消えます。しかも「届いていない」ことに、しばらく誰も気づかない。 だから切り替え前に、メールの設定(宛先の案内)を新しい案内板にも そっくり書き写しておく。これを忘れると、静かな事故になります。
⏳切り替えは「すぐ」には終わらない
案内板の変更は、世界中に伝わるまで時間差があります。「切り替えた=もう新しい方を見ている」ではありません。
DNS の設定には、「この案内はしばらく覚えておいてね」という有効期限(TTL)があります。切り替えても、この期限が切れるまでは、 古い案内を覚えている人には古い場所が見え続けます。世界中がいっせいに 新しい方を見るわけではなく、じわじわ切り替わる。ここを知らないと、 「切り替えたのに反映されない」と焦って、余計な操作をしてしまいます。
私たちのやり方は決まっています。切り替えの前に、この有効期限を短くしておくこと。そうすれば、いざ切り替えたときの反映が早くなり、 問題が出てもすぐ戻せます。段取りの中に「待ち時間の設計」を 入れておくかどうかで、当日の落ち着きが変わります。
🗝移管には「解錠」と「認証」が要る
ドメインの管理会社を替える移管は、鍵の受け渡しに近い手続きです。ロック解除と認証コード、そして連絡先メールが生きていることが前提になります。
ドメインそのものの管理会社を替える「移管」には、決まった手続きがあります。 勝手に持ち出せないようロックがかかっているので、まずそれを外す。そして本人確認のための認証コードを発行してもらい、新しい会社へ渡す。この二つが揃って、初めて移せます。
ここで見落としがちなのが、ドメインに登録された連絡先メールが生きているかです。移管の確認メールは、この登録先に届きます。 もしそれが、もう使っていない古いアドレスだと、確認そのものができません。 ドメインの名前の付け方や管理のルールは、JPRS(日本のドメイン登録管理)などが公開しています。手続きの前に、登録情報が最新かを一度見ておくと安全です。
🧭失敗しないための順番
引き継ぎは「棚卸し → 新しい場所を先に用意 → メール設定を写す → 有効期限を短く → 切り替え → 実物で確認」。この順番を崩さないことです。
私たちが通している順番を、最後にまとめます。
まず、ドメイン・DNS・サーバー・メールを、今それぞれ誰が持っているか棚卸しする。次に、新しいサーバー側に中身を先に用意しておく。 メールの向き先の設定を、新しい案内板にもそっくり写す。 切り替え前に有効期限を短くしておく。そのうえで切り替え、 最後に——サイトが見えるか、そしてテストのメールがちゃんと届くかを、自分の目と手で確かめる。
私たちが受託でいちばん大事にしているのは、この最後の一手です。 「切り替えたはず」で終わらせず、実物で確かめるまで完了と言わない。 ドメインの引き継ぎは、順番さえ守れば、そんなに怖くありません。 怖いのは、順番を飛ばして「たぶん大丈夫」で進めることの方です。
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