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始める前に「完了」を決める

完了の条件を後から決めると、途中の手応えで満足して止まってしまう。私たちは着手前に完了の定義を固定し、実物での検証を何段階か通してから終わりにする形にしています。その運用を書きました。

「だいたいできた」で手を止めたものが、後から穴だらけだったこと――何度もあります。原因はシンプルでした。どこまでやれば終わりかを、始める前に決めていなかったんです。

うちは社長 1 名と、AI(COO 役の Claude Code)だけの一人会社です。 走り出すのも、途中でやめるのも、私の裁量ひとつ。

その自由さには、落とし穴があります。 「完了」を自分の気分で決めてしまう、という穴です。

だから今は、手をつける前に「完了」を先に固定します。 始める前に終わりを決める、という話を書きます。

🌀「完了」を後から決めると、自分に甘くなる

作業の途中で「もう十分かな」と判断すると、その基準はたいてい、疲れ具合と手応えでできています。品質ではなく。

終わりの条件を決めずに走り出すと、どこで止まるか。 答えは、「なんとなく満足したところ」です。 そしてその満足は、たいてい、品質ではなく疲労と手応えから来ています。

私も、さんざんやりました。 一通り動いたところで「できた」と思い、報告する。 後から見ると、確認していない経路が残っていたり、 肝心の部分が繋がっていなかったり。 悪意はありません。ただ、走っている本人は、自分の出来を甘く見積もる。それだけの話です。

問題は、完了の基準が「途中で生まれる」ことにありました。 手を動かしながら基準を決めると、 その基準は必ず、自分の都合のいいほうに寄っていく。 だから、基準を作る場所を、手前にずらすことにしました。

🎯着手前に「これが満たせたら完了」を紙にする

手を動かす前に、完了の条件を書き出しておく。まだ疲れていない、いちばんフェアな自分に、合格ラインを決めてもらう発想です。

うちでは、少し重いタスクにかかる前に、「何が満たせたら完了とみなすか」を先に書き出すようにしています。 いわゆる「完了の定義」を、着手前に固定してしまう。

ポイントは、まだ何も作っていない、疲れてもいない自分に基準を決めさせることです。 この時点の自分は、いちばん公平です。 自分の作った成果物への愛着も、早く終わらせたい気持ちもない。 だからこそ、辛口の合格ラインを引ける。

そして、その基準はできるだけ 「見れば白黒つくもの」にします。 「よい感じにする」ではなく、 「この動作が、この経路で、この結果になる」。 曖昧な基準は、後からいくらでも自分に都合よく読み替えられてしまうからです。

🪜「動いたつもり」を潰す、段階を分けた検証

画面の一部が正しく見えることと、本番でちゃんと動いていることは、別物でした。だから完了の確認を、いくつかの段に分けています。

たとえば見た目のある機能を仕上げるとき、 うちは「完了」の確認を、いくつかの段に分けています。 まず、ページがちゃんと返ってくるか。 次に、指定した見た目の設定が、実際に配信される中身にまで入っているか。 最後に、実物の画面を画像として撮って、目で確かめる。

なぜ、こんなに段を分けるのか。 手前の段だけで「できた」と判断すると、手元では動くのに、本番では崩れているという食い違いを、何度も踏んだからです。 一つの確認だけでは、「動いたつもり」を見抜けません。

段を分けておくと、途中で満足しにくくなります。 「一段目が通った」は、まだ完了ではない。 全部の段を通って、初めて終わり。 完了の定義を先に決め、それを段階で確かめる。 この二つが噛み合うと、自己満足で止まる隙間が、ぐっと小さくなりました。

📐「完了の定義」は、開発現場の共通言語でもある

何をもって「終わり」とするかをチームで先に合意しておく、という考え方は、ソフトウェア開発の現場で古くから使われてきました。

「完了の定義を先に決める」という発想は、 私たちの思いつきではありません。 ソフトウェア開発の進め方には、Definition of Done(完了の定義)という考え方があります。 作業を始める前に「何が満たせたら完了か」をチームで共有しておく、という取り決めです。

狙いは、まさに私が困っていたことと同じでした。 人によって、その日によって、 「完了」の意味がぶれるのを防ぐ。完了の基準を、個人の感覚から、共有された取り決めへ移す

一人会社に、揃えるべき「チーム」はいません。 それでも、今日の自分と、疲れた夕方の自分は、驚くほど別人です。 始める前の自分が引いた線を、走り終えた自分に守らせる。 完了の定義は、その約束の役割を果たしてくれています。

🧭終わりを決めてから、走り出す

次に何かに取りかかるとき、最初の一分だけ使ってみてください。「何が満たせたら、これは完了か」を一行書いてから始める。それだけで、途中で止まりにくくなります。

明日から試せる、小さな一歩を。 何かに取りかかる前に、「これが満たせたら完了」という条件を、一つだけ書く。できれば、見れば白黒つく形で。 最初の一分の投資が、終盤の「なんとなく満足」を防いでくれます。

そして、その条件を確かめる方法も、先に決めておく。 「動いたつもり」で止まらないために、 確認は一段ではなく、いくつかの角度から。 手元で動く、と、本番で動く、は違う。 その線引きだけでも、成果物の安定感が変わります。

あなたは今、何かを「だいたいできた」で止めていませんか。 もしそうなら、次からは順番を変えてみてください。 終わりを決めてから、走り出す。 自分に甘くなる隙を、先回りして塞いでおく。効き目のわりに、手間はほんの少しでした。

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