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会社の記憶を、gitリポジトリに置いている

決定も議事録もナレッジも、私たちは全部gitリポジトリに置いています。検索できて、履歴が残り、AIがそのまま読める——会社の記憶をコードのように扱う「文書 as code」の実際を、一人会社の運用から具体的に書きます。

会社の決めごとも、議事録も、ためた知見も、私たちはすべて git のリポジトリに置いています。文書を、コードと同じように扱う、という選択です。

うちは社長ひとりと、COO 役の AI(Claude Code)で回している一人会社です。 人が少ないぶん、「誰かの頭の中にしかない情報」は致命傷になります。

だから私たちは、会社の記憶を人の記憶に頼らず、gitのリポジトリに集約しています。なぜ Notion でもクラウドドライブでもなく git なのか。 その実際を、運用の目線で書きます。

🗂️決定も議事録もナレッジも、テキストで置く

社内文書を、清書された成果物ではなく、リポジトリの中のテキストファイルとして扱っています。

私たちのリポジトリには、コードだけでなく、会社を回すための文書がまとめて入っています。 週次のミーティング記録、ためてきた知見、そしてなぜそう決めたかを残す意思決定の記録まで。ほとんどが、素朴なテキスト(Markdown)で書かれています。

この「文書をコードのように扱う」やり方は、Architecture Decision Records(ADR)のように、開発の世界では前からある考え方です。 私たちはそれを、開発以外の社内文書にも広げて、会社の記憶そのものをリポジトリに寄せています。 見栄えの良い清書より、検索と履歴に強い素のテキストを選んだ、ということです。

🔎検索できる、という当たり前の強さ

全部がテキストでリポジトリに入っていると、「あの話どこだっけ」を一発で引けます。これが地味に効きます。

情報が Notion、チャット、ドライブに散らばっていると、 過去の決めごとを探すだけで消耗します。 「たしか半年前に決めたはず」——それがどこにあるか分からなければ、無いのと同じです。

リポジトリに寄せてあると、同じ場所を横断して一度に検索できます。 決定も議事録もナレッジも、ひとつのフォルダの中のテキスト。 キーワードひとつで、関連する記録がまとめて出てくる。 情報の置き場所を一本化しておくことが、探す時間をそのまま減らしてくれました。

🕰️履歴が残る、「なぜ変えたか」まで追える

git は、いつ・何を・なぜ変えたかを勝手に記録してくれます。文書の変更履歴が、そのまま経緯の記録になります。

普通の文書だと、最新版で上書きした瞬間、前に何が書いてあったかは消えます。 でも git は、すべての変更を履歴として残します。 ルールをいつ書き換えたか、方針をどこで転換したか、あとから全部たどれる。

私たちは、変更を記録するときに「なぜ変えたか」を必ず一緒に残すようにしています。 半年後に過去の判断を見返したとき、結論だけでなく理由まで分かる。 一人会社は、過去の自分が唯一の引き継ぎ相手です。 その自分に向けて、決めた理由を履歴として残しておけるのは、git ならではの強みでした。

たとえば、あるルールを「迷ったら慎重に」から「取り消せるかどうかで決める」に変えたことがあります。 このとき、結論だけを上書きしていたら、後から見た自分は 「なぜこう決めたんだっけ」と、また同じ議論を最初からやり直すはめになります。 でも、変えた理由を履歴に一緒に残しておけば、過去の判断を「検証できる」状態になる。そのまま踏襲するのも、前提が変わったからと上書きするのも、根拠を見た上で選べます。 記憶が理由ごと残っていると、過去の自分と議論できる。これが、地味にいちばんありがたい効き目でした。

🤖AI が、そのまま読める形にしておく

いちばん効いているのは、ここです。会社の記憶が、AI にそのまま読める場所に置いてある。

私たちは AI を実務の COO として使っています。 その AI は、リポジトリの中のテキストを直接読めます。 つまり、会社の決めごとやルールを、AI が毎回きちんと参照できる。 過去の意思決定を踏まえた上で、今日の作業を進められるわけです。

もし会社の記憶が、人にしか開けないツールや、画像化された資料に閉じ込められていたら、 AI はそれを読めません。読めなければ、毎回ゼロから説明し直すことになります。 文書をテキストでリポジトリに置くというだけで、 人間の検索性と、AI への引き継ぎやすさが、同時に手に入る。 一人会社 × AI COO を回している私たちにとって、これは想像以上に大きな差でした。

🧭記憶を、人の頭から外に出す

会社の記憶を、誰かの頭の中でなく、検索でき・履歴が残り・AI が読める場所に外部化する。それだけの話です。

大げさなツールは要りませんでした。 テキストで書いて、git に入れて、変えた理由を一緒に残す。 これだけで、記憶は人に依存しなくなり、探せて、たどれて、AI にも渡せるものになります。

最初の一歩は、小さくていい。私のおすすめは、次に何かを決めたとき、その決定を一枚のテキストに残すことです。決めた背景、選んだ案、そして選ばなかった理由。この三つを短く書いて、リポジトリに入れる。 いきなり過去の全部を移す必要はありません。これからの決定を一件ずつ積んでいくだけで、 半年もすれば、検索できて履歴の残る「会社の記憶」が自然にできあがります。

いま、会社の大事な決めごとが、あなたの頭の中や、開きにくいツールの奥に眠っていませんか。 まずは意思決定の記録ひとつからでいい。テキストにして、履歴の残る場所に置いてみてください。 記憶を外に出した会社は、人が少なくても驚くほど強くなります。

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