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|開発者の視点|✍️ i-Willink

同じ作業だけしていると成長が止まる理由

慣れた作業を繰り返すと、いつの間にか学びが止まっていることがあります。学習科学の「望ましい困難」という知見を出典付きで整理し、意図的に負荷を変える工夫を実践者として書きました。

同じ作業だけを繰り返すと成長が止まるのは、作業に慣れるほど脳にかかる負荷が下がり、学習を前に進める負荷そのものが消えていくからです。

こなせるようになった作業は、効率は上がっても新しい学びを生みにくくなります。逆に、少し手間取るくらいの負荷が残っている作業のほうが、記憶にも理解にも残りやすい——これは学習科学で「望ましい困難」と呼ばれる知見です。以下は、この考え方を出典付きで整理し、社長1名とAI COOの一人会社で実際に意識している工夫をまとめた記録です。専門家としての助言ではありません。

🧠「望ましい困難」という研究知見

楽にできる作業を繰り返すより、少し手間取るくらいの負荷がかかる練習のほうが、記憶にも理解にも残りやすいとされています。訓練中の成績は下がって見えても、時間をおいたあとの定着はむしろ高まる——それがこの知見の核心です。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校の Bjork Learning and Forgetting Lab は「望ましい困難(desirable difficulties)」を、訓練中は難しく成績を下げるように見えるが、易しい訓練条件より長期的な効果が大きい訓練条件と定義しています。この呼称は Robert A. Bjork が1994年に与えたものだと同ラボが明記しています(UCLA Bjork Lab: Desirable Difficulties in Theory and Practice)。同ラボは具体例として、間隔をあける(spacing)・自分で答えを作る(generation)・複数の問題形式を混ぜる(interleaving)を挙げています。同じやり方を繰り返して楽にこなせるようになった状態は、この枠組みでは「負荷が下がりすぎている」状態とも言えます。

🔀実際に意識している工夫: 領域を変える

一つの領域に習熟したら、あえて隣接する不慣れな領域へ手を伸ばすようにしています。慣れない仕事は一時的に効率を落としますが、別の視点が持ち込まれることで、元の領域で「当たり前」になっていた前提に気づき直せます。

私たちは、Webサイトの受託制作・保守を軸にしながら、自社アプリの開発、OSSの公開、書籍の執筆、地域コミュニティ向けのサービス運営など、性質の異なる領域に同時並行で関わっています。一つの領域だけを深掘りし続けるより、慣れていない領域に定期的に踏み出すと、それぞれの領域で「当たり前」になっていた前提に気づき直す機会が生まれます。

🛠️実際に意識している工夫: やり方を固定しすぎない

一度うまくいった手順ほど、そのまま惰性で繰り返しやすいものです。だからこそ定期的に「本当に今もこれが最善か」を疑い、新しいツールや手法が登場したら一度は試して、古い前提を上書きするようにしています。

過去にうまくいった開発の進め方や文書の書き方を、そのまま惰性で繰り返すと、効率は良くても新しい発見は減っていきます。私たちは、うまくいっている手順であっても、新しいツールや手法が出てきた時には一度試してみる、既存のルールを定期的に棚卸しして「今も必要か」を見直す、という運用を心がけています。慣れた手順を崩すことには短期的な非効率が伴いますが、それ自体を学びの機会として受け入れる姿勢です。

🧭まとめ: 楽になったら、次の負荷を探す

整理します。①楽にできるようになった状態は学習の負荷が下がりすぎているサインでもある②研究知見「望ましい困難」は適度な負荷が長期的な定着を助けるとする③領域を変える・やり方を固定しないという形で、意図的に負荷を作り直している。

成長が止まったと感じたら、まず疑うべきは能力ではなく、負荷が下がりすぎていないかです。

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